前立腺肥大症


【症例1】             

主訴:夜間頻尿、不眠

現病:20年以上前に泌尿器科で前立腺肥大症を指摘されていたが、軽度なので観察でよいとされていた。しかし最近、夜間頻尿がひどくなり、ひどいときは4回起きる事もあり不眠の原因になっているのでなんとかして欲しい。以前現代薬を試した事があるが効果なかったので漢方治療を希望。

現 症:舌候 舌質厚い・淡紅・白苔++、脈候 硬・実・渋、 腹候 5/5太鼓腹

弁証:陽実証、腎虚ははっきりしない

【経過】

 どこで見たのか本で見たという八味丸を希望したので処方した。1ヶ月後、著効したと喜んでいる。夜間1時間毎だった頻尿が、2-3回で済むようになった。しかも、残尿感もなく、すっきり気持ちよく出るようになった。


 前立腺肥大症の漢方治療

最も使われるのは八味丸や牛車腎気丸などの腎気丸類であろう。この他文献には便秘があるものには大黄牡丹皮湯、便秘が無いものには騰竜湯とされているが、騰竜湯は煎じのため使われる機会が少ない。大塚敬節先生は八味丸と騰竜湯を合法すると良いと述べている。私は1度だけ騰竜湯を用いた経験があるが、効果がなかった。もっと多くの症例に試してみる必要がある。しかし、この疾患には、現代薬に大変優れた薬剤が多数あるので、漢方だけにこだわらず、現代薬も併用することを勧めている。