【症例1】
主 訴:頭痛、嘔気、めまい
現病歴:
X年年9月初旬より頭が全体的に重い、首が痛い、朝起きるとめまい、嘔気があるなどの症状が続き、9/25当科受診。
現 症:舌候 淡紅、脈候 硬・弦、腹候 診ていない、血圧130/80
抑うつ顔貌、やや顔面紅潮、手冷++、こもった声
経 過:
X年
09/25 気鬱、気逆と考え、半夏厚朴湯、五苓散とした。
10/04 嘔気とめまいは治った。頭重感と首の痛みは残っている。更に理気するため、 蘇葉0.9g3×追加。その後しばらく受診なし。
X+1年
03/14 1週間前から食欲がない。頭痛、首の痛み、めまいがする。前薬処方。
03/21 めまい、嘔気なくなり食べられるようになった。頭から首にかけて重い感
じはある。ついでに毎朝のてのこわばりがなくなったので継続して飲みたい。
04/11 頭から首にかけての重い感じも1/10へ改善。朝の手のこわばりは3/10。
X+2年
06/05 現在も継続し、体調良好を保っている。
【症例2】
主 訴:めまい、ふらつき
現病歴:
不眠、高血圧で当科治療中。2週間前からめまいがしてふらふらする。嘔気なく食欲もあり、血圧も130/80前後で安定している。
現 症:舌候 紫・舌下静脈+、脈候 硬、腹候 診ていない
経 過:
X年
11/18 水滞と考え、苓桂朮甘湯。
12/20 まだふらふらする。
X+1年
01/23 体調は良いが、歩行時にふらつくことがある。五苓散へ転方。
02/06 五苓散にしてから、息切れ、ふらつきが良くなってきた。
05/08 ふらつきが完全になくなったので廃薬。
めまいの漢方的原因は、主に水滞が主体と考えられるため、最も多く使われる処方は、苓桂朮甘湯、五苓散、半夏白朮天麻湯あたりであろう。使い分けは、立ちくらみや回転性めまいには苓桂朮甘湯、ふらふらする動揺性には半夏白朮天麻湯、真武湯などを用いる。また当帰芍薬散が有効なめまいもある。
ストレス性のめまい、つまり気逆や肝陽上亢によるものには柴胡剤、つまり柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散、女神散や黄連解毒湯などの瀉心湯類、瘀血の場合は桂枝茯苓丸や桃核承気湯を用いる。いずれも苓桂朮甘湯を併用すると良い場合がある。
何をやってもダメなめまいに、沢瀉湯(煎または生薬粉砕)が著効するものがある。