【症例1】
主 訴:片頭痛(突き刺すような痛み)
現病歴:
X-1年から月に1〜2回の片頭痛が出現。脳外科受診も、複数のトリプタン系を試すも、いずれも嘔気などの副作用があるばかりではなく効果もないとのことで、漢方治療を勧められX年5/11当科受診。生理痛があり、母親の当帰芍薬散を分けてもらい、生理痛は緩和されている。今の所頭痛には効果はない。
現 症:舌候 淡紅・歯痕跡±、脈候 平、腹候 2/5・心下振水音±・臍上の悸±
手は温、足冷+
経 過:
5/11 瘀血、血虚、水滞と考え、当帰芍薬散は継続。呉茱萸湯を頓服とした。
6/08 呉茱萸湯は内服後1時間くらいしたら効いてくる。内服後は頭痛は再発すること はない。副作用もなく、今までこのように効果があった薬はなかった。生理痛 も落ち着いている。
【症例2】
主 訴:嘔気、頭痛
現病歴:
X年年12月に帝王切開で出産してからというもの、ずっと嘔気と頭痛、体調不良が続いている。近医で頭部CT撮影するも異常なしと言われた。ずっと主訴で苦しめられており、とにかく何とかして欲しいと漢方治療希望でX+1年/3/23当科受診。
現 症:舌候 淡紅、脈候 弦、腹候 3/5・心下痞+・左臍下圧痛+
経 過:
03/23 産後の肥立ちが悪い状態で、虚証、気虚、血虚、水滞と考え六君子湯、当
帰芍薬散3×と五苓散を頭痛時頓服とした。
03/26 嘔気もなくなり体調も良くなってきた。元気になってきた。頭痛時は五苓
散が効く。笑顔があり見違えるほど元気になっている。3ヶ月は続けるよう
指導。
07/03 漢方がなくなった後ずっと市販の鎮痛剤を飲んでいた。07/01から嘔吐で起き 上がれなくて寝込んでいた。頭痛だけでなく首筋もびんびんに張っている。ま た漢方治療して欲しい。五苓散、当帰芍薬散3×と呉茱萸湯を頭痛時頓服とし
た。
08/04 薬は飲んだり飲まなかったり。五苓散と当帰芍薬散を飲み忘れると頭痛、
肩こりが出てくる。呉茱萸湯は効くが即効性がない。
頭痛にも色々種類がある。
臨床的に最も多く見られる筋緊張性頭痛には、葛根湯、柴胡剤、駆瘀血剤を用いる。片頭痛には、呉茱萸湯、五苓散、半夏白朮天麻湯などの補血剤、利水剤を用いる。心因性頭痛には柴胡剤、香蘇散、半夏厚朴湯を用いる。三叉神経痛には五苓散、麻黄附子細辛湯、桂枝加苓朮附湯などの利水剤、附子剤を用いることが多い。胃腸虚弱な頭痛には半夏白朮天麻湯を、高齢者の頭痛には釣藤散の適応が多い。