【症例1】
主訴:繰り返す難治性口内炎、イライラ、怒り、頑固な便秘、円形脱毛症
現病歴:
X年/5/09 生理前のイライラが強い、病気のの子供がおりストレスを感じている。怒りをコントロールできなくなる時がある。前医でもらった、抑肝散、桃核承気湯、加味帰脾湯は効果なかった。生理前になると必ず口内炎、円形脱毛ができる、肩こりも悪化する。漢方治療希望で当科受診。
現症:
舌候 淡紅・歯痕跡+、脈候 弦、腹候 腹力2/5・下腹部に広範に圧痛あり
経過:
X年
05/09 気鬱、気逆、瘀血と考え、桂枝茯苓丸、通導散寝る前、柴朴湯。
05/23 便通がよくなった。生理がきたがイライラは大した事なかった。口内炎はすご く出ている。半夏瀉心湯を口内炎悪化時頓服とした。
06/06 口内炎もできたが、前ほど悪くはならなかった。胃熱実証と考えた。
07/07 生理前に口内炎はできるが、いつもは5-6個できるところが、1個で済んでい る。半夏瀉心湯は寝る前だけ飲んでいる。
08/22 口内炎は生理前でも全然出来ていない。半夏瀉心湯を一時中止。
10/12 また口内炎ができるようになり半夏瀉心湯を再開。
10/26 口内炎は1個できる程度に改善。
X+1年
01/08 半夏瀉心湯を3回飲んでいるが、口内炎ができる。胃熱が更に実したと考え、黄連解毒湯1×とした。
2/01 口内炎は黄連解毒湯内服後すぐに治った。その後は出ていない。
便秘して口内の熱が盛んで、舌苔や口臭のひどい場合は、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、瀉心湯類、温清飲、半夏瀉心湯などの瀉心湯類を用いる。
舌苔がとれて熱がなく、体力の衰えた場合は、六君子湯、補中益気湯、十全大補湯などの人参湯類を用いる。
その他、甘草瀉心湯、涼膈散、香蘇散、甘露飲、清熱補血湯、清熱補気湯、葛根黄連黄芩湯、黄柏末の含嗽などを用いることもある。清熱補血湯は口内炎の他に、舌痛症に著効することがある。