【症例1】
主訴:腹満
経過:
少量のものを食べても腹が張り、なかなか治らないので当科受診。X年10/16に総合病院で大腸カメラなど精査するも異常なかった。
既往歴:X-20年 大腸がんで大腸を30cm切除。3年間抗癌剤内服していた。
現症:舌候 淡紅、脈候 硬、腹候 4/5、臍上の鼓音++
経過
10/19 気鬱と考え、平胃散。
10/26 1日目はガスが出たが、2日目はでなかった。しかし腹満は良くなった。便が
硬めになり、スムーズに出なくなり、残便感はある。効果あるものの、理気が 不十分と考え、半夏厚朴湯を追加。
11/09 腹満なくなった。便も出ている。
腹満には実証の場合の「実満」と虚証の場合の「虚満」の別がある。
実満には大承気湯や桃核承気湯などの承気湯類を用い、虚満には半夏厚朴湯や平胃散、厚朴生姜半夏甘草人参湯(煎薬)などを用いる。この他、厚朴三物湯や厚朴七物湯(いずれも煎薬)なども成書に書かれてあり、私も数例の経験があるが、いずれも効果がなかった。しかし、厚朴生姜半夏甘草人参湯は著効例が多く、虚証の腹満にはとても良く効いた。