【症例2】
主 訴:不眠(中途覚醒)、手足のしびれ
現病歴:
X年4月から動悸と血圧上昇あり、近医受診、安定剤で軽快した。しかしその後再発し、心療内科受診、心身症と診断され安定剤で軽快。しかしその後効果なくなり抗うつ剤へ変更も副作用(嘔気、眠気)で中止。違う抗うつ剤へ変更も不安が強くなり中止。その後各種安定剤投与されるも効果なく中止。漢方治療を希望され、X年10/25当科受診。「安定剤はもう使いたくない。」
現 症:舌候 淡紅、脈候 硬・実、腹候 3/5・両胸脇苦満±、心下痞+
経 過:
X年
10/25 気鬱、気逆と考え、半夏厚朴湯3×、柴胡加竜骨牡蛎湯3×、酸棗仁湯2×。
11/10 少し眠れるようになってきたがまだ途中で起きる。しびれも3/10まで減少。
12/22 睡眠は良くなってきた。しびれは若干残っている程度。
X+1年
01/22 夜は結構眠れるようになってきた。しびれ3/10。終診。
【症例3】
主 訴:不眠症、冷え性、副鼻腔炎
現病歴:
10年前から現在の仕事を始めてから上記主訴出現。夜勤があり、朝に寝ようとしても、興奮してなかなか眠れず、睡眠も浅い。
現 症:舌候 淡紅・厚・舌下静脈+、脈候 大・弦、腹候 2/5
心下振水音±・やや崖腹、手汗+、顔全体が光っている
経 過:
X年
04/06 気逆、解毒証と考え荊芥連翹湯。
04/30 飲んでいた方が調子がよい。冷え性も温まってきた。夜はまあまあ
眠れるようになってきた。副鼻腔炎も割と良い感じ。
05/14 副鼻腔炎とても良い。
【症例4】
主 訴:不眠(中途覚醒)
現病歴:
のぼせ、発汗などの更年期症状で桂枝茯苓丸服用し軽快していた。X年6/2受診時、最近夜間に2-3回程度中途覚醒するようになった。
現 症:赤ら顔、軽度肥満、色白
経 過:
X年
06/02 桂枝茯苓丸2.5g加サフラン0.2g
07/10 眠れるようになった。中途覚醒もほとんどない。サフラン中止。
08/07 また中途覚醒するようになった。2〜3時間で起きてしまう。
サフラン0.2g再開。
09/04 中途覚醒もなくなり眠れるようになった。
不眠症の漢方治療は、理気剤、補気剤、柴胡剤、瀉心湯類、駆瘀血剤、補血剤などの中から証に応じて選択するが、処方が多岐に渡っているので、正確な証の把握が必要とされる。様々な疾患に対し漢方治療をしているが、不眠症はその中でも意外と難しいと感じている。最近3年間の著効例21例中、私が最も頻用していたのが11例のツムラ酸棗仁湯であった。ちなみに加味帰脾湯の著効例は3例であった。選択した方剤にサフランを追加すると更に効く例がある。