【症例】

主　訴：アレルギー性鼻炎、眼周囲の発赤・腫脹

現病歴：

 X年春から主訴出現し、２カ所の皮膚科で抗アレルギー薬とステロイド軟膏などの治療をうけるも思わしくなかった。10月から増悪し、内科的な問題もあるかもといわれた。温度差で湿疹は悪化する。鼻炎は春と秋に悪化する。

 既往歴：喘息でステロイド吸入治療

現　症：舌候　淡紅・舌下静脈怒張±、脈候　弦

 　　　　腹候　4/5・心下痞＋・圧痛　右臍下・右下腹部±

経　過：

X+1年

01/05当科初診。血虚、瘀血、熱証と考え温清飲。レスタミンコーワ軟膏、清熱ローシ

　　ョンを投与。

02/05　前回受診後悪化したため皮膚科受診したところロコイド軟膏処方された。塗布

　　後数日で良くなるが、止めるとまた悪化する。温清飲飲んでから、手の湿疹がで

　　きるときのチリチリという痛みが減った。五十肩がある。疎肝解鬱も必要と考え

　　温清飲→荊芥連翹湯へ転方。

02/23　湿疹は改善傾向。

03/12　眼周囲の発赤は大分よくなった。

04/15　メイクも出来るようになった。

 

05/25　鼻炎も良くなってきた。春なのに悪化しなかった。

　急性期は麻黄剤、慢性期は補気剤などの補剤を中心に治療する。

　麻黄剤としては、実証から虚証の順に、麻黄湯、麻黄加朮湯（小児に頻用）、越婢加朮湯、葛根湯、葛根湯加川芎辛夷、小青竜湯、麻黄附子細辛湯などを用いる。麻黄が使えない症例には、苓甘姜味辛夏仁湯を試すと良い。

　慢性期は、脾虚肺虚になっている例が多いので、脾虚に対する補気剤、例えば小建中湯や六君子湯などをベースとしながら麻黄剤を加減しながら併用すると良い。

　他に炎症が強い場合には、辛夷清肺湯、防風通聖散、柴胡剤（小柴胡湯、十味敗毒湯、荊芥連翹湯湯など）を上手に選択すると良い。