円形脱毛症には以下のような臨床分類がある。
1.通常型円形脱毛症
単発型:脱毛斑が単発のもの
多発型:複数の脱毛斑を認めるもの
2.全頭脱毛症:脱毛巣が全頭部に拡大したもの
3.汎発性脱毛症:脱毛が全身に拡大するもの
4.蛇行状脱毛症(ophiasis):頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
有効例10症例の成績を以下の図にまとめた。
これまでの漢方治験より以下の考察を行った。
10例中7例が皮膚科治療無効例であり、難治例に対しても漢方治療の効果が期待できると思われた。効果発現までの期間は21日から148日とまちまちだが、平均すると61.3日となり、効果判定には少なくとも2ヶ月の観察が必要と思われた。臨床分類別にみると様々なタイプに対しても効果を認めており、漢方治療はタイプを選ばないと思われる。
難治例だけではなく、発症初期から漢方単独、もしくは現代医学治療と併用して積極的に用いると、より短期間での効果が期待できると思われた。
病態は、気鬱、気逆、血虚、瘀血、腎虚が中心と思われ、使われた方剤もこれに応じて、理気剤、柴胡剤、補血剤、駆瘀血剤、補腎剤が用いられた。文献によると、補気剤や利水剤での改善例も報告されており定型的な処方はなく、まさに随証療法に忠実に基づいた治療を行う必要があると思われた。